５月2日（水）に4th mini Album『Innig』（イニック）をリリースするLiLi。2004年に結成し、地元横浜を中心に活動する彼らは、05年に発売した1st mini Album『“Link”』でFM横浜やtvk（テレビ神奈川）で高い評価を受け、地元でのワンマンライブはつねにソールドアウト。子供からお年寄りまで幅広い層から支持を得るバンドだ。メンバー構成は、ボーカル、ドラム、ベースの女性３人と、ギター、キーボードの男性２人からなるという、ちょっと珍しい編成だが、「必要なパートを揃えたら、結果的に女子と男子の比率がそうなったというだけ」という。
すでにMiyukiと予備校で知り合っていたリーダーJiro（ギター）が、バンドを組もうと思い立ったのは大学に進学してから。共通の友人から、「実はMiyukiが歌がうまいと聞いて、カラオケに誘ったら、ホントに上手かった（笑）」（Jiro）。Miyukiは母親がピアノの先生をしていて、つねに音楽が身近にある環境で育っていた。「そこから私の幼なじみだったり、その専門学校の友だちを誘って、どんどん繋がっていってバンドになったんです」（Miyuki）。友だちの輪がリンクしてかたちになっていったところから、リンクの「Li」を取って、「LiLi」というバンド名になった。
メンバー全員が歌詞をかけて曲を作れるというLiLiの楽曲は、ポップでキャッチーな軽快な曲から、しっとりと聴かせるバラード、打ちこみを駆使してボーカルにもエフェクトをかけるサウンドまで幅広く、さらに、描かれるシーンがくっきりと浮かびあがる情感のこもった歌詞が印象的だ。「曲作りに関しては、同い年っていうのもあるけど、感覚的のもみんなイーヴンというか、自分がリーダーである程度ガイドは作っても最終的にはみんなで決めようということも多いですね。歌詞も、ボーカルが歌いたいものをというよりも、みんながアウトプットしたいものを集めて、各々がその時に一番伝えたいことを最優先しています」（Jiro）。「書く人のその時の思いだったり、状況だったり、時代もあるし。だからテーマを最初から決めて作ることはあまりないですね。バンドだからといって生音にこだわるのではなく、シーケンスを使ったりボーカルにエフェクトをかけたり、LiLiの場合はそういうものを多いに使って新しいものを何でも採り入れていこう、そこで必要なければ排除すればいいという考え方ですね」（Miyuki）。LiLi全員が一体となって試行錯誤し生み出される音楽は、作品ごとに進化し続けている。
新作『Innig』に収められたのは全６曲。オープニングを飾る〈beautiful world〉は、日産自動車と横浜市が推進するYMPZ（Yokohama Mobility Project Zero）のテーマソングとして起用されている。「CEATECという技術発表会で日産がブースを出した時に、知合いだったデザイナーさんから会場で演奏をしないかと誘われたのがきっかけでした。その後も日産の方がライブに来てくれるようになり、地元の企業と行政が関わるプロジェクトにぜひということで、採用していただきました」。ここでもまた大きなリンクが繋がったのだ。
他には、昨年シングルとしてリリースして彼らの代表曲となった〈旅人〉のアルバムバージョンも収録。「シングルでは最後がフェイドアウトになってカットされていた重要なひと言を、最後までしっかり収録しています。そのひと言にとても重要なメッセージを込めているので、ぜひ聴いて確かめて欲しいですね」（Jiro）。それ以外の4曲は、まだライブでもお披露目したことがない未発表曲が並んでいる。
ボーカルのMiyukiが今回のアルバム全体を通してこだわったのが、曲ごとの声質の変化。「それは曲ごとにイメージする人を変えてるからなんですね。例えば〈beautiful world〉は若い男の子の設定だし、〈Driving Magic〉なら若い女の子、〈今だけは〉は逆に年齢がちょっと上の女性、〈memories〉は同世代の女の人。そうやってイメージして歌うと、それぞれで声質がガラッと変わるんですよ」（Miyuki）。実際に、その声が宿す表現力には目を見張るものがある。
アルバム名となった『Innig』は、レコーディングスタジオが冠していた単語だが、調べるとドイツ語で「情愛深い」「優しい」「心からの」という意味で、偶然にもアルバム全体を流れる気持ちと一致していた。こうして繋がったリンクが、今度はリスナーに拡がっていく番だ。
official site：
http://www.lili5.com/
