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 インタ−ネットが普及し、個人における知識や情報の量よりデータベースをもとにした検索や情報へのリテラシーがますます重要になってきた現在の社会。「知っている」ということの意味と内容も、徐々に変化してきている。たとえば音楽にしても、膨大な時間と労力をかけてレコードやCDを探し、やっと手に入れた1曲と、ネットで検索した目当てのサイトから、関連項目でレコメンドされてクリック数秒でたどり着いた1曲。どちらが良いかというのではなく、その経験の質はずいぶん違ってはいないだろうか。同じことは、聴き手だけでなく作り手側に対しても言える。

――そんなことは誰だって「知っている」か。しかし、それは本当に「知っている」のだろうか?

  2年ぶりに会ったMinxZoneに話を聞いて、改めてそんなことを考えた。大阪で産声を上げ、今年で結成10年目を迎える彼らは、2002年に上京して精力的にライブ活動をしていく中で、「もっとたくさんの人に歌を聴いて欲しい!」と、雨の日以外は毎日路上ライブを行うようになる。ひたむきに夢を追い続けるその姿にファンを増やしていた“路上派”3人組に、その後、彼らも予想していなかった大きなストーリーが待っていた。

 2008年の初頭、いつものように新宿の南口付近で路上活動をしていたMinxZoneに、オーストラリアからCMの撮影に来ていたある人物が声をかける。「さっき通りかかったんだけど、どうしても気になって戻ってきた。君たちの曲をCMの楽曲として使わせてくれないか?」。春先、約束通りにオーストラリアの有名デパートデビッド・ジョーンズのCMで使用された「ビニール傘」は、バンド名も曲名も一切クレジットされなかったにも関わらず、各所で問い合わせが殺到。噂を聞きつけてHPに訪れてくる人から、現地のラジオ局から電話での出演依頼までもが来るようになった。ひとつの出逢いから始まった展開に驚きつつも、その可能性を自ら確かめたくなって、6月、MinxZoneはオーストラリアに飛ぶ。地元のバンドと組んでメルボルンで3つのライブハウスを回り、ラジオに出演し、日本と同じく各地で路上ライブを敢行したのだ。

 「僕らのことを知らない人も聴く中で、言葉が通じなくてもやっぱり伝えたいことは言葉を越えて通じる感じがすっごくしたんです。感動して泣いてくれたり、“言葉は分らないけどあなたたちの音楽はポジティブで、元気をもらいました”って言ってくれたり。オーストラリアの人たちに伝えられたということよりも、そのことで自分たちが得られたものがとても大きかった」とリーダーのwaioは言う。日本の路上から世界へとつながったMinxZone。「音楽に言葉の壁や国境はない」ということを体感した彼らは、新たに「世界の路上から」というテーマを掲げて、“大阪、オーストラリア、カナダ、プラハを路上ライブで一つにつなごう”と新たな夢を描いた。

 そして彼らは「成長する夢」を目の前に引き寄せる。今年6月には、カナダ、バンクーバーで開かれた日本カルチャーを紹介するイベントへの出演が決定。招待されたステージだけでなく、もちろん路上でもライブを行って、改めて音楽で未知の人とつながる快感を味わってきた。「welcomeやったなぁ。すごい良かった〜」とドラムのayuhaは喜びを噛みしめ、次は、ヨーロッパへの上陸を目指す。

 夢が実現するにつれ、曲作りや歌詞にも変化が出てきた。「“努力は必ず叶う”とか、そういうのって言葉として毛嫌いしちゃう、遠ざけてる時期があったんですけど、やっぱり結局そこに戻ってくるんですよね。言い方はどうあれ、“努力すれば叶うんだぜ!”っていうことをやっぱり歌いたい。僕が変ったように、考えをポジティブに変えられるきっかけが世の中にはいっぱいあるんだってことを、歌に込めたいとすごく思うようになった」とwaioは語る。「それまでは日本語だから無理やりこういうメロディになってしまっていると思っていた部分も、海外では“日本語ならではのメロディ”とカッコ良さとして捉えてもらっていて、帰ってきてからも自信を持って歌えるようになりました」。経験を通して本当に「知った」、彼らの言葉は力強い。

 ひと回りもふた回りも大きくなったMinxZoneには、来年、国内では次のステップが計画されている。その前にまず、満を持して登場する今月のmorph7周年イベントでその成長を確かめて、知って欲しい。

オフィシャルサイト http://www.minxzone.net

〜Live information〜

morph-tokyo7周年スペシャルウィーク 『thank ya』
2009年10月29日(木)
OPEN/START  17:30/18:00  
前売り/当日 ¥2400/¥2900(D別)
出演:MinxZone/Fly Ants/ワカバ/LOUD HAEDS/SOONERS/せきずい

『プラウド・メアリー』
2009年11月26日(木)
OPEN/START  17:30/18:00  
前売り/当日 ¥2400/¥2900(D別)
出演:MinxZone/川原里依子/彬子/green-light/安田奈央/9P/ねぐりぢぇ

Interview&text : Eiji Kobayashi


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