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Pick Up Artist


 ブルースロック・ギタリストのichiroと、フラメンコのカンテ(歌)のKSK Aritaの運命的ともいえる出会いから生まれた、今最も“熱い”バンド、 Rockamenco。ジャンルは違えど、人間の根源に触れるという意味で最も近い部分 で通じ合った二つの魂が、音楽に新しい命を吹き込んだのだ。morphでは2006年 の秋にいち早くpick Up Artistとして取りあげているが、翌07年4月からの全国 22ヶ所におよぶロングツアー、5月の1st maxi Single「Morena」の発売とTBS系 「世界ふしぎ発見!」のエンディングテーマへの起用、6月の渋谷クラブクアト ロでのツアーファイナルライブの成功、そして9月にはPARCO劇場でのホールコ ンサートと、その圧倒的なパフォーマンスと陽性のエナジーが各地で話題を呼 び、会場に足を運んだ誰もが彼らのアルバムを待ち望んでいた。

 そして、9ケ月に渡るレコーディングを経てついに、1/30にSecond Single 「Esperanza」が、次いで2/13にFirst Album『PASION』がリリースされた。フタ を開けてみれば、バラエティに富んだ楽曲と、さらに磨きがかかった演奏力、バ ンドとしての完成度、どれをとっても聴く者を満足させる内容。すでにそれぞれ のフィールドで活躍するメンバー7人が、ロックとフラメンコの融合という新し いスタイルのオリジナルを求めて、長い旅の末にたどり着いた結晶の数々がここ にぎっしりと詰まっている。「探しながらやってる分だけトライが多かったとい うか、でもそれだけやる必要性はあったし、意味はあるなと思った」とichiro。 初めての本格的なアルバムレコーディングとなったKSKも、「面白かった。しん どかったことも含めて全部がね」と充実感をにじませる。

 アルバムは、たった2時間で完成したというRockamencoの出発点となった曲 「Morena」で幕を開ける。フラメンコギターの印象的なイントロにエレキギター が重なり、スピード感溢れる軽快なリズムに乗って情熱的なボーカルが絡み合 う、まさにRockamencoの代名詞的曲だ。「Esperanza」と題された2曲目は、“希 望”というタイトルどおり、チャレンジし続ける人たちへ向けた応援ソング。 「KSKのスケール感を表現するのにピッタリな曲」(ichiro)で、オリンピック やサッカー日本代表のテーマソングにもぴったり合いそう。エンディングのフラ メンコとエレキのギターの掛け合いがライブでも盛り上がる代表曲。

 3曲目の「No Satisfied」は、一転してアーバンなテイストが香る洒落たリズ ムで始まるが、次第にサビへと駆け上がる「満足するな!」というKSKの叫びが 痛快だ。スペイン語で「我が人生」を意味する4曲目の「Vida Mia」は、「オレ の人生!と叫びたくなるような素晴らしいオンナをイメージして作った詞」 (KSK)が、独特なリズムに乗って艶めかしく歌われる。フラメンコギタリスト Danによる作曲で、「ロックチーム4人がフラメンコの3人の領域に踏み込んで 冒険した、意味のある曲」(ichiro)となった。

 続く「wasabi」は意外にもネコの歌で、実際にichiroが飼っているネコの名前 がタイトル。フラメンコギターの爽やかなリズムに、温かみのある KSKのボーカ ルが伸びやかに胸に響く。Rockamencoは、「男」のさまざまな表情を合わせ持っ ていて、情熱的な曲がである一方で、こういったやさしさ、かわいさが顔をのぞ かせるところも魅力の一つだろう。 「Vacaciones」はバケーション=夏=Rockamencoとイメージして作られた、ラテ ンテイスト満載の曲。軽快なホーンセクションも心地よく、ビーチが目の前に浮 かんできそうだ。アルバム後半へ突入するインスト曲「Passion」は、ある意味 で最もライブで盛り上がる定番曲で、 Rockamencoの真骨頂であるメンバー同士 の競演/饗宴が存分に味わえる。ギター3人の魂のこもったソロからオ〜レ!の 大合唱はぜひライブで体験して欲しい。

 そして、フラメンコの中でもテーマや世界観など理解が難しいといわれるシギ リージャというリズムを初めてダイレクトに取り入れた大曲「Still Lovin' You」が続く。歌詞、サウンド、構成、すべてにおいて様々なトライが詰め込ま れ、メンバー間でも多いに刺激を受け合い、これまでにない新境地を切り開い た。こういう曲が生まれるところにもRockamencoの果てしない可能性を感じずに はいられない。

 と、まだまだアルバムは続くのだが、「この2年間の全てを凝縮した」 (KSK)「全曲シングルカットしたい」(ichiro)というのも頷けるほど、どれ も120%の聴き応えある曲に仕上がっているとだけは言っておこう。ダンス ミュージックではなく、本格的なバンドサウンドとして成立させながら、直に世 界へ届く力を持ったRockamenco。今月20日からは全国ツアーもスタートし、折り 返し地点となる4/17(木)の東京では、リニューアルされた赤坂BLITZのオープ ニングシリーズとしてラインナップされているというから期待もふくらむばかり だ。アルバムを聴いて、その“PASION”を Rockamencoのメンバーと共に爆発させ る時を待とうではないか。

Interview&text : Eiji Kobayashi


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