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 morphの中でも指折りの人気イベント「SOUL STREET」「SUPER FRIDAY」というダンスイベントの仕掛け人、U-KI。すでにダンサーとて15年以上のキャリアを持ち、現在は「BREAKYDElic」と「THINK」というダンスチームでパフォーマンスを魅せる一方、スタジオでのレッスンはもちろん、さまざまなダンスイベントやコンテストを企画し、若いダンサーたちのフック&バックアップを積極的に行なっているキーマンの一人だ。
「たとえば人前で何かを披露してる人を見ると、そっち側へ行きたいとそう思っちゃう」。U-KIがダンスに興味を持ったのも地元九州の先輩たちのブレイクダンスを見たからだった。1984年、シャバドゥーやブーガルー・シュリンプといった本物のストリートダンサーが出演した伝説的な映画『ブレイクダンス』が公開され、日本各地でブレイクダンスのブームが起こった時期。高校生だったU-KIもこの映画に衝撃を受け、地元熊本のテレビ番組でMCを務め、ダンスを踊っていた藤本一精氏に接近。彼のもとでダンスを学ぶうちに「気づいたら一緒に活動をするように」なっていった。
「ダンスダンスダンス」「ダンス甲子園」などテレビ番組の影響で、第2次ダンスブームが日本中に起こる頃、U-KIは九州では一番大きなカルチャー発信地である福岡へ向かった。LLブラザーズ、インペリアルJB'sなど名の知られたダンサーたちが集まる中で、最もカリスマ的存在であったヨシボウ率いる「BE BOP CREW」に出逢って衝撃を受けたことで、U-KIはさらに「そっち側」へ飛び込みたくなる。

「ステージを見て、完全に惚れちゃって、居ても立ってもいられなくなった。その人のところに行って自分を認めてもらいたい」と、弟子入りを志願。同じく志を共にする若者たちと、文字通り一生懸命にダンスに打ち込むことになった。「当時はダンスを仕事にしようとか、そういうことは全く考えてなくて、ただただ純粋に上手くなりたかった」。この時代の仲間と今新たに組んでいるのが「BREAKYDElic」である。

 U-KIが東京に出てくるのは27歳の時、「すごい遅かった」が、「自分がどの程度通用するのか見てみたい」という気持ちと、次第に「ダンスで生計を立てたい」と考えるようになっていたからだ。もちろんそれは簡単なことではなかった。「ダンサー」とひと言で言っても、何がゴールで、どうやったら成功なのか、カタチに見えにくいし、人それぞれ違うだろう。「何でダンスやってるの?」と根本的なことを聞かれたり、まだ世間には遊びとしか理解されない状況を変えていきたいという思いは強かった。純粋に踊るだけではなく、イベントや振付の仕事をはじめ、ダンスを通じた仕事は何でもやっていった。

 つねに葛藤を抱えながらも、彼を支えてきたのは「信じる」ということだ。それは、何もないところから環境を築き上げてきた先輩たちから学び、自分たちだけで終わらせずに次の世代へ伝えていきたいことでもある。「今目指してる人たちも、ほんとに自分を信じていくしかないと思う。そこに何があるかって言われても、やってみないとわからない。だからやろう、好きだったら自分を信じてやろうぜ」

 今、日本のダンスシーンは、韓国、フランスなどとともに、世界から注目されている。アメリカから来日するストリートのトップダンサーも、「日本の環境は素晴らしい」と口をそろえて羨ましがっているほどだ。そして、'90年代を通して浸透したクラブミュージックやクラブカルチャーは、近年は女性がその牽引役となって、ダンスシーンでも席巻している。身体と感情に正直な彼女たちは、嘘をつかない。
「“自分が一番好きな自分”でいられるために、自分をプレゼンしていく。その実現が一番幸せなことだと思うんですよね。若いからこそそういうことができるし、余計なことを考えずに突き進んでほしい。一生懸命やれば答えはあとからついてくる」。身をもって証明してきたU-KIから発せられるこのコトバは、ダンサーを目指す人に限らず、あらゆる人に訴える重要なアドバイスではないだろうか。

Interview&text : Eiji Kobayashi


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